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コラム

2022/01/18

【3】企業としてのプロジェクト管理の仕組み作り(1) ~プロジェクト管理会計編~

今回はプロジェクト管理会計の仕組み作りについて述べていきたい。

さて、プロジェクト管理会計の仕組みとは何か?
通常、企業では基幹の会計システムで財務会計と管理会計を行っている。
財務会計は財務諸表を作成して外部関係者へ開示するのに対し、管理会計は企業活動を円滑に進めるための主に社内で使われるものとなり、組織の事業計画などの判断材料となる。企業ではこの管理会計を行うために、プロジェクトのコスト状況を集める必要がある。

しかし、プロジェクトで管理しているコストはそれぞれのプロジェクトがExcelなどで独自の切り口になっていることが多いため、企業の管理会計に反映するにはプロジェクトからの報告に対する集計時間がとてもかかる。

プロジェクトで管理しているコストや実際にかかっているコストについては、本社側もプロジェクト側もできるだけ早く見たいものである。

そこでプロジェクトのコスト管理と基幹システムの管理会計をつなげ、プロジェクトコストと基幹の実績コストがリアルタイムに把握できるようにするプロジェクト管理会計の仕組みを考える企業が増えてきている。

ではプロジェクト管理会計の仕組みの作り方について述べて行こう。
プロジェクト管理会計の仕組みは以下2つのアクションで作る。

 1.(コスト管理用共通フレーム)コントロールアカウントの作成
 2.システム構築

まず「1. コントロールアカウントの作成」であるが、これは重要かつとても難しい。
下図はコントロールアカウント作成イメージであるが、企業組織が見たいコスト管理体系とプロジェクトが見たいコスト管理体系があり、それぞれ見たいものが異なる。
これをいかにすり合わせてコントロールアカウントを作成できるかが、この仕組みを作るうえでの肝となる。

ではコントロールアカウントを実際にどのように作成していくのか。

弊社ではプロジェクト管理会計の仕組みを作る支援サービス(EPMソリューションサービス)で、コントロールアカウント検討のワークショップを開催している。具体的には、組織長、プロジェクトマネージャ、会計担当、システム担当など関係者を集め、それぞれ現状のコスト管理方法を確認し、管理ポイントをすり合わせていく。

もちろん自社内だけですり合わせていくことも可能であるが、外部の人間を入れ、外部の情報を参考にすると判断材料が増え、検討がスムーズにいく。

弊社の場合はエンジニアリング企業グループとしての海外プラントプロジェクトの実績、システム構築に関わった製造業プロジェクトの実績などから、エンジニアリング業や製造業から声をかけていただくことが多い。

なお弊社では検討プロセスの方法として、お客様と打ち合わせた後に、お客様内でも話し合ってもらい、こちらでは次の提案を用意し、その後、両者で打ち合わせる形式をとっている。

このように社内関係者と外部からの参考となる情報を組み合わせ、コントロール・アカウントを作り上げていくことをお勧めする。

コントロールアカウントが決定したら、下図のとおりプロジェクトにコントロールアカウントを設定し、予算、実績、確定、完成時予測コストとスケジュール、進捗率を入れて管理する。完成時予測コストは予算と進捗率などから算出することもできる。
なお、実績や確定コストなど実績値は企業で管理している情報を、予算や完成時予測など計画値や今後予測値はプロジェクト側で管理している情報を取り込み、これらの管理情報を可視化・共有化すると、プロジェクトはいつでも正しい実績値を確認することができ、企業側はプロジェクトの完成時予測が把握でき組織としても今後見込みが分かるようになる。
これにより企業としてのコスト管理であるプロジェクト管理会計の仕組みの考え方ができあがる。

さて、コントロールアカウントを作成し、プロジェクト管理会計の仕組みの考え方でできあがったら、次に「2. システム構築」に入る。
下図はプロジェクト管理会計に必要な、コスト管理情報、進捗情報の流れをまとめたものである。
企業が有するシステムを大きく「プロジェクト管理システム」「基幹システム」「設計/調達/工事システム」「組織マネジメントシステム」の4層に分けて表記している。
各層において、この情報の流れをスムーズにすることにより、プロジェクト管理会計の仕組みができあがる。

システム構築では以下の2つを行う。

 ① プロジェクト管理システムの構築

 ② システムの連携とレポート構築

まずは、「① プロジェクト管理システムの構築」から説明していこう。
私たちの場合、プロジェクト管理システムは海外でも利用できるアプリケーションの導入を提案している。

以前私が関わったシステム構築では、
・「工程管理/リソース管理」システムにOracle社のPrimavera P6
・「コスト管理」システムにARES社のPRISM
を導入した。

この2つのアプリケーションを組み合わせることによりプロジェクトのスケジュール/リソース/コストすべてを関連づけることができる。

導入後は以下の流れができあがる。

  a.「Oracle Primavera P6」でWBSの工程に合わせたローディング計画を作成する(下図イメージ)。

  b. ローディング計画を人件費予算として「ARES PRISM」へもっていき、
    「ARES PRISM」で人件費以外の予算を入力する。

これで、各コントロールアカウントのコスト計画(予算)が作成される。

ここで、コスト管理アプリケーションの「ARES PRISM」について説明しておこう。
下図はARES PRISMのコスト管理システムの画面である。
あらかじめ予算、変更予算、実績、確定、完成時予測などの箱が用意されてあり、コントロールアカウントを登録し、それらに明細を入れて行くと集計値が各箱に計算されるようになっている。
標準で「Oracle Primavera P6」との連携機能があるため、WBSやアクティビティコードの要素を反映させてコントロールアカウントが登録されたり、Excelなどのインターフェイスもあるので登録に手間はかからない。
また、多通貨対応があり外貨レートを持たせて換算をさせることもできるので、海外の調達コストなども現地通貨で使えるところも特長である。

このようにアプリケーションを導入することにより、システム構築時間とコストを大幅に削減できる。またアプリケーションを標準化することで関係者は専門性の高い共通言語で話をするようになり、企業のコミュニケーション力も向上する。

「① プロジェクト管理システムの構築」が完了すると「② システムの連携とレポート構築」に入る。
ここまでのプロジェクト管理システムの構築により、プロジェクトのリソースローディングや日程を考慮したコントロールアカウントのコスト計画ができるようになった。
これに基幹システムや既存システムとの連携を行うことにより、以下の流れができあがる。

  c. 基幹システムから、実績工数、実績コストを「ARES PRISM」にもっていき、
     コントロール・アカウントの実績値に反映させる。

  d. 既存システムからステータス状況をとり、コントロールアカウントに進捗率を反映させ、
    「ARES PRISM」上で完成予測コストを計算する。

これによりリアルタイムにコスト実績と完成予測コストが可視化され、プロジェクト管理会計が実現する。
システム連携により、プロジェクト管理会計が実現したら、組織長向けプロジェクトサマリーレポートを構築する。
私たちの場合はBIアプリケーションを活用し、組織長にKPIを確認し下図のようにコンパクトにまとめ、組織長がKPI分析できる画面を作成している。

このように組織長向けプロジェクトサマリーレポートが完成し、KPI分析が可能になることにより、プロジェクト管理会計の仕組みが整い、企業全体でプロジェクトコストの可視化が実現される。

以上、本コラムではプロジェクト管理会計の仕組み作りについて述べてきた。

プロジェクト管理会計はシステム作りもそうであるが、コストの共通フレームであるコントロールアカウントをいかに作っていくかが最大のポイントとなる。
弊社でもEPMソリューションサービスでプロジェクト管理会計の仕組み作りの支援業務を行っているが、やはりコントロールアカウント検討には力を入れており、関係者から情報を集め、繰り返し打ち合わせを行い精度を上げていく。

コントロールアカウントをしっかり決め、システムを作ることにより、全世界のプロジェクトコストをリアルタイムに確認できるようになるのである。

現在の情報化社会では情報伝達のスピードと情報の正確性が、企業の判断を左右する。
以前のようなプロジェクトに管理を任せている時代は過ぎ去り、企業としての管理の仕組みやシステムをどう考えるかという時代に変化してきている。

今回のプロジェクト管理会計の仕組みのように、企業としてプロジェクト管理の仕組みをきちんと考えていくことにより、企業の競争力が強化されていくであろう。

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