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コラム

プロジェクトマネジメント

2022/02/03

【4】企業としてのプロジェクト管理の仕組み作り(2) ~設計進捗管理編~

※本文中のARES PRISMはブランド名を「Contruent Enterprise」に変更いたしました

みなさんは、設計業務の進捗管理をどのように計っているだろうか。

進捗基準を明確にせず、属人的で根拠がわからないまま90%完了したと連絡を受けてないだろうか。
よくある話であるが、90%終わっているはずなのに数週間経っても完了報告がなく、本当に終わるのかと心配になったことはないだろうか。

今回は、属人的にならない設計進捗管理の仕組みについて話をしていきたいと思う。

設計業務と言えば設計図書などのドキュメント作成が中心であるが、最近ではドキュメントの進捗基準にいくつかのパターンを用意し、ドキュメントのステータスを管理する企業が増えてきている。
ただし、ドキュメント管理のステータスをもとに、設計業務全体の進捗がわかるような仕組みを整えているところは少ないのではないだろうか。

では、どのような仕組みで設計図書(ドキュメント)の進捗と設計業務を管理していくか。
各社いろいろと設計業務の進捗管理単位はあると思うが、今回は設計進捗の管理単位を考えるエンジニアリングアカウントを使った管理例を紹介しよう。

設計図書の数が多い場合、設計図書1枚ずつを設計業務の進捗管理単位とすることは難しい。エンジニアリングアカウントは複数の設計図書をまとめた成果物の単位で管理する考え方である。
下図は一例であるがエンジニアリングアカウント(設計成果物ベースの管理単位)の進捗が算出される流れを明記している。

 ① エンジニアリングアカウントを定義する(対象設計図書など)
 ② 設計図書の進捗マイルストンを定義する
 ③ 設計図書提出に合わせて進捗計算する

下図の例では設計図書Aを5/11提出により、設計図書Aの進捗が50%となり、見積時間(重み)により成果物の進捗であるエンジニアリングアカウントは15%となる。
プロジェクトの各エンジニアリングアカウントを集約するとプロジェクトの設計進捗が計算される。
この仕組みをシステム構築し自動化することにより、企業としてプロジェクトの設計進捗を即時に捉えることが可能になる。

では、システムイメージを含めた具体的な例をあげていこう。
今回はARES PRISMの設計管理システムと、コレポン管理Aconexを使った例をあげたいと思う。

下図はAconexで [PEVE3#-PFD-000001] を含む設計図書を送付状を付けて送付し、提出日を設計図書の進捗マイルストンに反映させた例である。
これにより [PEVE3#-PFD-000001] の進捗率が50%となる。同じエンジニアリングアカウントに属する設計図書の進捗率もあわせエンジニアリングアカウントの進捗率が算出される。

それぞれのエンジニアリングアカウントで進捗率が算出されたら、関係するコントロールアカウントに反映されコントロールアカウントごとの進捗率が算出される。
つまり、それぞれの設計業務の進捗が、プロジェクト業務の進捗に反映されるのである。

そして、下図のようにコントロールアカウントの進捗率が見えると、「どこまでの進捗で、コストがいくらかかっているか」が分かるようになる。また、進捗率を踏まえた完成時予測も算出されるため、コントロールアカウントの進捗率、予算、実績、完成時予測がすべて自動で見えるようになる。
この仕組みをシステム構築し自動化することにより、企業としてプロジェクトの設計進捗をベースとしたコスト予測を即時に捉えることが可能になるのである。

もう一つ具体的な例として、前回のプロジェクト管理会計編でも登場したARES PRISMのコスト管理システムを使った例をあげたいと思う。 さきほどARES PRISM設計管理システムで算出した進捗率は、コスト管理システムに画面を切り替えると、コントロールアカウントの進捗率へ反映され表示されている状態になる。また、コントロールアカウントの進捗率をもとに完成予測が計算される。
(計算方法については、CPIを反映/SPIとCPIを反映など選択可、またこれらを参考値として直接入力する方法もある)

これらにより、統一した基準で設計進捗は管理されるようになり、どこまで進んでいくらかかっている(また、いくらかかりそう)が分かるようになる。
さらに、システムのレポート出力により、進捗率カーブやコストカーブも確認できるようになるのである。

エンジニアリング・進捗レポート例

エンジニアリング・コストレポート例

以上、本コラムでは設計進捗管理の仕組み作りについて述べてきた。

このように企業として進捗基準を統一し、設計進捗をプロジェクト管理システムに取り込むシステム作りをすることにより、企業としての設計進捗だけでなく、進捗を考慮したプロジェクト管理会計の仕組みができあがる。
これによりプロジェクトマネージャ、プロジェクト関係者、組織長などのマネジメントは いつでも統一した基準で設計進捗を確認でき、プロジェクトの進み具合とコストを分析し、常に必要な対策をとれるようになるのである。

通信のめざましい発達により、いつどこでも必要な情報が取得できる現在、情報がいかに正しく伝わっているかが ポイントとなっている。
プロジェクトにおける設計進捗を基準なく管理してしまうと、同じような設計図書で同じ進み具合であっても人によっては、90%であったり、30%であったりする。そうならないためにも、企業で進捗基準を作りシステム化する必要があるだろう。

90%から何週間も進まないような、属人的な報告はなくしたいものである。

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カテゴリ:プロジェクトマネジメント

2022/01/18

【3】企業としてのプロジェクト管理の仕組み作り(1) ~プロジェクト管理会計編~

※本文中のARES PRISMはブランド名を「Contruent Enterprise」に変更いたしました

今回はプロジェクト管理会計の仕組み作りについて述べていきたい。

さて、プロジェクト管理会計の仕組みとは何か?
通常、企業では基幹の会計システムで財務会計と管理会計を行っている。
財務会計は財務諸表を作成して外部関係者へ開示するのに対し、管理会計は企業活動を円滑に進めるための主に社内で使われるものとなり、組織の事業計画などの判断材料となる。企業ではこの管理会計を行うために、プロジェクトのコスト状況を集める必要がある。

しかし、プロジェクトで管理しているコストはそれぞれのプロジェクトがExcelなどで独自の切り口になっていることが多いため、企業の管理会計に反映するにはプロジェクトからの報告に対する集計時間がとてもかかる。

プロジェクトで管理しているコストや実際にかかっているコストについては、本社側もプロジェクト側もできるだけ早く見たいものである。

そこでプロジェクトのコスト管理と基幹システムの管理会計をつなげ、プロジェクトコストと基幹の実績コストがリアルタイムに把握できるようにするプロジェクト管理会計の仕組みを考える企業が増えてきている。

ではプロジェクト管理会計の仕組みの作り方について述べて行こう。
プロジェクト管理会計の仕組みは以下2つのアクションで作る。

 1.(コスト管理用共通フレーム)コントロールアカウントの作成
 2.システム構築

まず「1. コントロールアカウントの作成」であるが、これは重要かつとても難しい。
下図はコントロールアカウント作成イメージであるが、企業組織が見たいコスト管理体系とプロジェクトが見たいコスト管理体系があり、それぞれ見たいものが異なる。
これをいかにすり合わせてコントロールアカウントを作成できるかが、この仕組みを作るうえでの肝となる。

ではコントロールアカウントを実際にどのように作成していくのか。

弊社ではプロジェクト管理会計の仕組みを作る支援サービス(EPMソリューションサービス)で、コントロールアカウント検討のワークショップを開催している。具体的には、組織長、プロジェクトマネージャ、会計担当、システム担当など関係者を集め、それぞれ現状のコスト管理方法を確認し、管理ポイントをすり合わせていく。

もちろん自社内だけですり合わせていくことも可能であるが、外部の人間を入れ、外部の情報を参考にすると判断材料が増え、検討がスムーズにいく。

弊社の場合はエンジニアリング企業グループとしての海外プラントプロジェクトの実績、システム構築に関わった製造業プロジェクトの実績などから、エンジニアリング業や製造業から声をかけていただくことが多い。

なお弊社では検討プロセスの方法として、お客様と打ち合わせた後に、お客様内でも話し合ってもらい、こちらでは次の提案を用意し、その後、両者で打ち合わせる形式をとっている。

このように社内関係者と外部からの参考となる情報を組み合わせ、コントロール・アカウントを作り上げていくことをお勧めする。

コントロールアカウントが決定したら、下図のとおりプロジェクトにコントロールアカウントを設定し、予算、実績、確定、完成時予測コストとスケジュール、進捗率を入れて管理する。完成時予測コストは予算と進捗率などから算出することもできる。
なお、実績や確定コストなど実績値は企業で管理している情報を、予算や完成時予測など計画値や今後予測値はプロジェクト側で管理している情報を取り込み、これらの管理情報を可視化・共有化すると、プロジェクトはいつでも正しい実績値を確認することができ、企業側はプロジェクトの完成時予測が把握でき組織としても今後見込みが分かるようになる。
これにより企業としてのコスト管理であるプロジェクト管理会計の仕組みの考え方ができあがる。

さて、コントロールアカウントを作成し、プロジェクト管理会計の仕組みの考え方でできあがったら、次に「2. システム構築」に入る。
下図はプロジェクト管理会計に必要な、コスト管理情報、進捗情報の流れをまとめたものである。
企業が有するシステムを大きく「プロジェクト管理システム」「基幹システム」「設計/調達/工事システム」「組織マネジメントシステム」の4層に分けて表記している。
各層において、この情報の流れをスムーズにすることにより、プロジェクト管理会計の仕組みができあがる。

システム構築では以下の2つを行う。

 ① プロジェクト管理システムの構築

 ② システムの連携とレポート構築

まずは、「① プロジェクト管理システムの構築」から説明していこう。
私たちの場合、プロジェクト管理システムは海外でも利用できるアプリケーションの導入を提案している。

以前私が関わったシステム構築では、
・「工程管理/リソース管理」システムにOracle社のPrimavera P6
・「コスト管理」システムにARES社のPRISM
を導入した。

この2つのアプリケーションを組み合わせることによりプロジェクトのスケジュール/リソース/コストすべてを関連づけることができる。

導入後は以下の流れができあがる。

  a.「Oracle Primavera P6」でWBSの工程に合わせたローディング計画を作成する(下図イメージ)。

  b. ローディング計画を人件費予算として「ARES PRISM」へもっていき、
    「ARES PRISM」で人件費以外の予算を入力する。

これで、各コントロールアカウントのコスト計画(予算)が作成される。

ここで、コスト管理アプリケーションの「ARES PRISM」について説明しておこう。
下図はARES PRISMのコスト管理システムの画面である。
あらかじめ予算、変更予算、実績、確定、完成時予測などの箱が用意されてあり、コントロールアカウントを登録し、それらに明細を入れて行くと集計値が各箱に計算されるようになっている。
標準で「Oracle Primavera P6」との連携機能があるため、WBSやアクティビティコードの要素を反映させてコントロールアカウントが登録されたり、Excelなどのインターフェイスもあるので登録に手間はかからない。
また、多通貨対応があり外貨レートを持たせて換算をさせることもできるので、海外の調達コストなども現地通貨で使えるところも特長である。

このようにアプリケーションを導入することにより、システム構築時間とコストを大幅に削減できる。またアプリケーションを標準化することで関係者は専門性の高い共通言語で話をするようになり、企業のコミュニケーション力も向上する。

「① プロジェクト管理システムの構築」が完了すると「② システムの連携とレポート構築」に入る。
ここまでのプロジェクト管理システムの構築により、プロジェクトのリソースローディングや日程を考慮したコントロールアカウントのコスト計画ができるようになった。
これに基幹システムや既存システムとの連携を行うことにより、以下の流れができあがる。

  c. 基幹システムから、実績工数、実績コストを「ARES PRISM」にもっていき、
     コントロール・アカウントの実績値に反映させる。

  d. 既存システムからステータス状況をとり、コントロールアカウントに進捗率を反映させ、
    「ARES PRISM」上で完成予測コストを計算する。

これによりリアルタイムにコスト実績と完成予測コストが可視化され、プロジェクト管理会計が実現する。
システム連携により、プロジェクト管理会計が実現したら、組織長向けプロジェクトサマリーレポートを構築する。
私たちの場合はBIアプリケーションを活用し、組織長にKPIを確認し下図のようにコンパクトにまとめ、組織長がKPI分析できる画面を作成している。

このように組織長向けプロジェクトサマリーレポートが完成し、KPI分析が可能になることにより、プロジェクト管理会計の仕組みが整い、企業全体でプロジェクトコストの可視化が実現される。

以上、本コラムではプロジェクト管理会計の仕組み作りについて述べてきた。

プロジェクト管理会計はシステム作りもそうであるが、コストの共通フレームであるコントロールアカウントをいかに作っていくかが最大のポイントとなる。
弊社でもEPMソリューションサービスでプロジェクト管理会計の仕組み作りの支援業務を行っているが、やはりコントロールアカウント検討には力を入れており、関係者から情報を集め、繰り返し打ち合わせを行い精度を上げていく。

コントロールアカウントをしっかり決め、システムを作ることにより、全世界のプロジェクトコストをリアルタイムに確認できるようになるのである。

現在の情報化社会では情報伝達のスピードと情報の正確性が、企業の判断を左右する。
以前のようなプロジェクトに管理を任せている時代は過ぎ去り、企業としての管理の仕組みやシステムをどう考えるかという時代に変化してきている。

今回のプロジェクト管理会計の仕組みのように、企業としてプロジェクト管理の仕組みをきちんと考えていくことにより、企業の競争力が強化されていくであろう。

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2021/12/01

【2】「それ言ったはず」は海外では通用しない ~コレポン管理~

国内プロジェクトでは、よく口頭で「~お願いします」で作業が進んでしまう。

それで問題になったときに言った言わないのやりとりがよく始まり、結果として発注側/請負側で「まあこの件は後に・・・」となることがある。
私も国内プロジェクトではよく口頭で話をしてしまった経験がある。

しかし、契約社会の海外ではそうはいかない。きちっと文書で責められるし、
口頭で「それ言った」と言っても通用しない。そうすると、責められた方は急いで血眼になって議事録や履歴を探し始める。

関連コラム : 洋上風力発電プロジェクト成功の留意点 ~ 日本と海外の商習慣の違い

このようなプロジェクト関係者とのやりとりを海外ではコレスポンデンス管理、略してコレポン管理という。
このコレポン管理、まだパソコンが普及していなかったころは、たくさんのキングファイルにコレポン履歴を入れ、部屋を倉庫にして保管し、すぐに必要な書類が取り出せるように専任者をつけてコレポンを管理していたところが多い。

パソコンが普及するようになってからは、各社とも情報システム化が進んでいく。これにあわせて、プロジェクト側から社内の情報システム部門にこういうシステムが欲しいと要望するようになり、コレポン管理についても要望を出すプロジェクトが増えていった。

しかし、よくありがちなのがコレポン管理のシステム化について社内情報システム部門に話をすると通常のドキュメント管理システムの話になってしまうというケースだ。これは、プロジェクト側ではコレポンを関係各社と行うが、情報システム部門ではコレポン管理をする機会がほとんどないからだ。

しかし、コレポン管理システムとドキュメント管理システムはまったく違うものである。

ドキュメント管理システムによりドキュメントの一元管理やバージョン管理はできるようになる。また、ワークフローもつければ、どのドキュメントがどこで止まっているかは分かる。

しかし、成果物として発注者側へ提出した図面などのドキュメントに対し、いつのやりとりでどのようなコメントが入っていたかまで探すことは困難だ。

これでは、発注者側で「そんなことは言っていない」という言葉に「○月×日の成果物○○バージョンのコメントでこのように言っていた」と証明することができない。メールの履歴を探すなどに時間をかけても、見つからないこともある。

このような話は海外プロジェクト担当のお客様や社内の海外プロジェクト担当からよく聞いていた。

プロジェクトの現場で欲しいのは、下図のように成果物送付に対するやりとりの中で、発注者側でどの成果物にいつ、どのようなコメントがあったか証明できるようなシステムである。ドキュメントのバージョンやワークフローではなく、どこかに書かれているコメントを探したいのである。

では、プロジェクトの現場で、一般的に使用されているコレポン管理システムはどのようなものか。コレポン管理システムでは、やりとり記録を保存・管理、必要なときに検索・参照できるようになっている。また、管理番号の自動採番、やりとりの自動タグ付けなどもコレポン管理システムのポイントである。

下の画面はコレポン管理システムの画面であるが、プロジェクト関係者間専用にメールやドキュメント(主な記録対象は以下に明記)が管理されており、文書中にあるコメントまで検索できるようになっている。これにより言った言わないのやりとりが無くなるのである。

ACONEX画面

コレポン管理システムが通信記録対象とする主なもの

  ● 送付状(Transmittal)
  ● 通信記録(Correspondence)
  ● 質問状(RFI : Request for Information)
  ● 通知(Notice)
  ● 是正依頼(Non-Compliance Notice)
  ● レター(Letter)
  ● 議事録(MOM: Minutes of Meeting)
  ● メモ帳(Note Pad)
  ● 通話記録(Telephone Record)

近年はインターネットの普及やグローバル化、JV(ジョイントベンチャー)プロジェクトの増加などにより、プロジェクト間のコレポンも今までより更に多くの関係者へ迅速かつ正確に、また役割ごとに強固にセキュリティを守ることが求められている。

これらのことから、インターネットで使用でき、プロジェクト期間だけプロジェクトメンバー間のみで使用できるよう、コレポン管理もクラウドのシステムを使うプロジェクトが増えてきている。
多くの企業が集まってプロジェクトを進める中、自社のシステムを他社に使わせず、必要な期間だけ使用できる手軽さ、導入のしやすさなどが人気の理由のようだ。もちろんシステム提供側もセキュリティには万全を期しているようである。

以上、本コラムではコレポン管理について述べてきたが、ITの普及によりプロジェクトもプロジェクト業務の管理方法も複雑化し、システムもどんどん進化してきている。
次世代プロジェクトのコレポン管理に向け、コレポン管理の仕組みをしっかり設計し、必要なシステムを検討・導入し、そしてきちんと運用することにより、大きな情報の波を乗りこなせる強いプロジェクト、企業に成長していくだろう。

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2021/10/29

【1】あなたの会社のプロジェクトはITを活用できているか

インターネットの普及、プロジェクトの複雑化、グローバル化により世界の様々なステークホルダーがいる中、短期間で作り上げていくプロジェクト。情報の波が錯綜しているこの時代、昔のようにプロジェクト管理パッケージのオペレータを選任で雇って管理するだけの時代ではなくなってきている。いかにスピーディにシステムを準備し、必要とされかつ正しい情報をみんなで可視化・共有化できるかが重要となっている。
さて、あなたの会社のプロジェクトはITを有益に活用できているか?

本コラムでは、長年プロジェクトマネジメント支援に携わっていた弊社コンサルタントが、これまでの経験からJVのようにプロジェクト期間だけプロジェクト関係者だけが使えるようなシステム作り、生産管理とプロジェクト管理の統合であるプロジェクト生産管理(Project Manufacturing)システムなどの導入や利用についてお伝えしていく。
次世代プロジェクト管理に向けて、今必要なプロジェクト管理システムとは何か参考にして頂ければと思う。

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どの企業でもプロジェクトでITシステムを活用していると思う。

たとえば、Microsoft Project や Oracle Primavera などのプロジェクトの工程・リソース管理アプリケーション、Auto CAD などの CAD/BIM アプリケーション、その他プロジェクトコストの管理や見積などのアプリケーション、何かしらのシステムを使用しているのではないだろうか。

私も実際に Primavera を使用して自社プロジェクト管理や、お客様向けに Primavera のサーバー環境構築や導入/運用支援・既存システムとの連携開発を行ってきた。

しかし、自分の体験やお客様からの声を聞くと IT部門から「サーバーが届くまでに1カ月かかります」と言われたり、サーバーやネットワーク環境構築に伴う社内申請、また海外へ持ち出すときの社外申請など、アプリケーションは買ったのにすぐ使えないという問題に必ずあたってしまう。

とくにプロジェクトが JV(ジョイントベンチャー)だと、他社と同じシステムを使わなくてはならず、自社システムが使えなかったり、IT部門に JV対応用システム改修を依頼したりと、プロジェクト側も IT側も頭を抱えている。

私はそのような課題を抱えているプロジェクトや ITの方々にプロジェクトアプリケーション専用クラウドをお勧めしている。
以下の画面は自分の PC のブラウザからプロジェクトアプリケーション専用クラウドにて、工程・リソース管理の Oracle Primavera とプロジェクトコスト管理の ARES PRISM を利用している例である。

Project Cloud イメージ図

プロジェクトアプリケーション専用クラウドの良いところは、何と言っても登録したアプリケーションが全世界どこでもインターネットですぐに使えて、かつプロジェクト関係者専用画面で関係者間のコミュニケーションや伝達事項のやり取りができることだ。

これからは重いパソコンを持たずに手ぶらで出張する時代になるに違いない。

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